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大地の子(2)/山崎豊子

大地の子〈2〉 (文春文庫) Book 大地の子〈2〉 (文春文庫)

著者:山崎 豊子
販売元:文藝春秋
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陸一心の本名は松本勝男。日本人戦争孤児である。日本人ゆえの苦難の日々を経て、彼はようやく日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」建設チームに加えられた。一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、松本耕次を上海事務所長に派遣する。松本はかつて開拓団の一員として満洲に渡り、妻子と生き別れになっていた…。【BOOKデータベースより】

2巻目読了。この巻は、労働改造所での苦難の5年半から出所。冤罪を着せられた陸一心と陸徳志の親子の愛の続きと、日本の父の戦後が描かれています。

今なお、戦争の傷跡を引きずり、ずっと慙愧の念を持ったまま、生きてきた松本耕次。妻、父、子どもの消息を気にしながらも、満州に率先して導いたと言う想いが、残りながら、生きています。

時あたかも、日中友好条約が締結され、中国は戦争の賠償責任を放棄する代わりに、経済的援助を求めてくるんです。東洋製鉄に勤める松本耕次は、中国の近代化の象徴、「宝華製鉄」の建設のため、一大プロジェクトに参加することになるんですね。一方で一心の復帰後、日本語の堪能さを買われ、この事業に参加する。二人の運命が交差してくるんですね。
この辺りが、何とももどかしくて、特に万里の長城でのすれ違いは秀逸。片や中国の父、陸徳志と一緒に登り、すれ違うからもどかしい。

中国人としての記憶しかない、一心。その環境と生い立ちの端から、日本に対しての復讐心が宿ります。しかし、捨てられない祖国日本の思い。ソ連軍の残虐行為から生き延び、記憶がぷっつり途切れてしまうんですね。それも哀しいです。

2巻は、中国と日本の関係がより分かってきて、より、面白いです。しかし、日本と言う国は・・・。そして、時を経て中国残留孤児たちの消息が明らかになってくるんです。
幼い頃、テレビで報じられていたことの、ほんの断片しか知らなかった自分を反省しました。こうした、中国と日本の歴史があったから、家族が何十年も生き別れたままになっていたんですね 誰が悪くて誰がいいと言う問題ではなく、日本という国の歴史を再度、考えさせてくれる2巻です。良かったー。

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